CIBI Okayamaができるまで vol.3

CIBI Okayamaができるまで vol.3

岡山県吉備中央町にCIBI Okayamaが2026年6月にオープンします。そして宿泊できるCIBI Houseが2027年にオープン予定です。どのように私たちがこの場所を作ってきたのか、その過程と裏側を少しずつお伝えしていきます。今回は、CIBI Houseに焦点をあてます。

Enjoy reading with the sounds of Okayama.

CIBI Houseとは?

CIBI Houseは、CIBI Okayamaから車で10分ほどの、山の上にある古民家です。宿として2027年にオープンできるように現在準備を進めています。宿はCIBIとしては初めての試みですが、私たちがシェアしたいライフスタイルを体現するものひとつとして、とても自然のことでした。

築100年ほどの平屋の木造の家。茅葺屋根の上にトタン屋根がかかっており、かつては赤だったであろう色味がエイジングされ随所に残る修繕のあとが歴史を感じさせます。

このあたりは10軒ほどの集落ですが一軒一軒の距離が遠く、CIBI Houseは田んぼを見下ろす小高い山の上にたっています。家のまわりには柚子、柿、梅、栗などが実り、裏山ではわらび、よもぎ、ふき、タラの芽などの山菜が自生している豊かな環境です。

田んぼの曲線と山の稜線が織りなす景色。
CIBI Houseの魅力のひとつは、この素晴らしい風景です。春には瑞々しい新緑、夏には水をはった田んぼの輝き、秋には色づく紅葉、冬には次の季節に向けて力をためる褐色の山々。どの季節にも、美しい瞬間があり美しい表情を見せてくれます。

古民家は、昔の暮らしを反映した造り。

ここはもともと岡田さんが生まれ育った家。
80歳近い男性で、おばあさんの代からここに住んでいたそう。もう使われなくなったこの家を繋いでいくため、岡田さんからここでの暮らしやたくさんの思い出などをお聞きしながら、空間づくりのアイディアを膨らませていきました。

入り口からすぐ土間があり、そこは炊事の場所でもありました。部屋は、8畳の部屋が2つ、6畳の部屋が2つ。4つの部屋が集まった大きな正方形のような形を、障子が十字で仕切っていました。

この障子の役割に、改めて感心したZenta。

壁代わりの障子を開け閉めすることで、ひとつの大きな空間にもなるし、4つの独立した空間にもなる。親戚が集まるような冠婚葬祭には大きなワンフロアに、通常の暮らしでは4つの部屋として、自由に変化する余白をもたらした障子。

それは日本ならではの知恵でもあり、この家の象徴でもありました。フレキシブルな壁としての役割をもつ障子を、そのまま残そう、そう決めました。

窓がないというのも、面白い特徴。

日中は農作業で日が暮れるまで外に出ているので、家で過ごすのは朝の少しの時間と夜のみ。日光が入る必要がない。空気を取り込むという意味合いでは、縁側が窓代わりになっていました。

生活のあり方が、家の造りに反映されていること。時代時代で、人々の暮らしがあり、それぞれの営みがある。100年前のそれが確かにそこにあるという価値を、岡田さんのお話しを通して家から受け取りました。

出来るだけこの家の良さを残したい。昔の住み方を形跡をそのまま楽しんでもらい。その想いを軸に、現代の人も過ごしやすいように空間のアップデートを行いました。

残しつつ、加える。

出来るだけ昔の生活を体験できるように残しつつ、モダンを入れる。このバランスに気を使いました。

障子の機能を残したまま、床は変えました。
古くなった畳を取り、一段低くなったレベルにコンクリートを流しました。障子の建具をはめ込むために使われる一対の横木「敷居」と「鴨居」は残したまま。コンクリートの床が「敷居」から50cmほど下がっているので、空間の中でこの障子がのるレールのラインに高さが生まれ、縁側のような佇まいに仕上がりました。

縁側も、この家を構成する大切な要素。
“外”にある縁側を、”内”にも取り込んだアイディアです。縁側のように座れるベンチとして、土間へ行くための通路として、ファンクショナルな使い方が生まれました。

障子で空間を自由に区切りながら、滞在する人数や構成に合わせて思い思いの過ごし方を楽しんでもらえたらと思います。

今回使った木材は、岡山のヒノキです。
じつは岡山はヒノキの丸太生産量が日本一。高品質で知られています。地元の木材を使うことで、土地との繋がりをより感じれるようにと願いました。

土間がかつて炊事の場だったので、キッチンはそのまま入り口すぐの土間部分に。

CIBI Houseの脇にある小さな菜園からフレッシュな野菜を収穫して、料理する時間も楽しんでいただけます。キッチンのワインフリッジには、CIBIセレクトのワインも並ぶ予定です。

また、囲炉裏もアップデートしました。
囲炉裏を囲う四角い部分をコンクリートでつくり、そのまわりに同じくコンクリートでベンチシートを設置。囲炉裏を囲んで、備長炭で好きなものをグリルしてみんなで食事を楽しめます。

お風呂は、元々使われていた五右衛門風呂をバスタブに。シャワーもあります。

古民家の良さをそのまま残しつつ、洋と和を融合し現代化したCIBIらしいアプローチで進めています。

不便さは、不自由さではない。

CIBI Houseのまわりは、本当に静かです。

聞こえるのは、鳥のさえずりや虫の声、風で樹木が揺れる音など自然のサウンドだけ。
田んぼのまわりを散歩したり、裏山を散策したり、のんびりとした時間を過ごすことができます。

ありのままの自然が真横にある暮らし、そして生活の在り方が反映された空間を通じて、Zentaはこう感じました。

不便さが、不自由さではない。
便利が、しあわせでもない。

2極論でもなく、その両方の狭間にある、あわいの感覚。都市での暮らしは便利で、便利であることは嬉しい。一方で、不便は楽しい。楽しむ余白がある。

野菜や果実を収穫して、土地の味を感じたり。

木材がたくさんあるので何かを作ってみたり、絵を描いたり。ただ沈む夕日を眺めたり、星空をぼんやり見つめたり。

シンプルな生き方、暮らし方であることを、これでいいんだと肯定するような、答え合わせをするような時間を、CIBI Houseがお届けできたらと思います。

それぞれの日々に、暮らしのヒントを持ち帰ってもらえたら嬉しいです。

CIBI Okayama is hiring!

CIBI Okayamaでは、オープニングスタッフの募集を開始しています。

デザイン、食、空間を一体として、CIBIそのままを表現する場所です。
メルボルン、東京に続く拠点として、岡山でも日々取り組んでいきます。
一緒にこの場所を作っていきたいと思ってくださる方、ぜひご応募ください。